寝る部

常識にとらわれない新しい〝快眠〟を日々探求しているブログ

連載ブログ小説『せんぱいせんぱいせんぱい乾杯、せんぱいサンライズ』(第2回)

京都のとある有名女子高に勤める男性教師に巻き起こるミステリー。

ミステリーに少しでもご興味があったら読んでみてくださいね。

第1章――日の出(第2回)

「嫌でした……。すごく嫌でしたが…………。先生は、あたしに顔を近づけて、濡れたかとか、どこが、とか……。…………と言われたのに…………。だから………………が好き…………。…………に気持ちいいの……。で、先生はなんかそれから、無理矢理………………って言わそうとしていたから…………」

 正面席の顔ぶれは、いささか落ち着きがない。

 少女の左隣にいる母親は、忙しなく少女の背中をさすってやったり少女に頷いてやったりし、その母親の左隣にいるパーカーの上に学ランを重ね着した男はけだるそうに椅子に浅く座りながらケラケラ笑っている。そこからだいぶ空いて、右隅の角にいる教頭は顔を強張らせ、にじむ汗をハンカチでしきりに拭って情けないほど怯えているのである。

 結局一番落ち着いているのは教頭のちょうどその反対側の左隅、少し俯きがちな顔を紅潮させるでも、青ざめさせているわけでもなく、両手を膝に押し付けるように座って固まっている、宗崎であった。

「宗崎先生が、どうしてもっていうから股間を触りました」と少女は告白を続けた。「それから、股の付け根を舐めてくれって先生が言ったの……。それが好きだから、それをしてくれって……」 

 宗崎は非常に仕事熱心な教師である。いつも夜中まで職員室にいるのは彼、朝一番に職員室に来るのも彼、学校行事で手を抜かないのは無論、生徒の質問にいつも嫌な顔ひとつせずに答え、さらに他の教師が仕事が間に合わず困り果てていた時何も言わず残業をしてくれるので、自然他教師からの信頼も厚く、現にどうしても人手が欲しいと頼みこまれてすでに数学研究部とバスケットボール部の顧問を兼任しているのにもかかわらず、昨日から空手部の副顧問にまでなっていたらしい。

(つづく)

 

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