寝る部

常識にとらわれない新しい〝快眠〟を日々探求しているブログ

連載ブログ小説『せんぱいせんぱいせんぱい乾杯、せんぱいサンライズ』(第4回)

京都のとある有名女子高に勤める男性教師に巻き起こるミステリー。

ミステリーに少しでもご興味があったら読んでみてください。

●第1章――日の出(第4回)
「宗崎先生はあたしの頭を両手で掴んで、無理矢理動かしたの……。とても苦しくて苦しくて…………」
 ここで少女は突然言葉を切り、疲れきったように椅子にもたれかかり、あごをあげ、放心するように天井の一点を見つめたまましばらく息を切らしていた。
「……もう十分でしょう」と、母親が彼女を優しく抱き、それから娘の頭を何度も何度も撫でてやっている。「わざわざこのような場を開き、これだけ大勢の前で辛い体験を話させるなんて……。これほど残酷なことをまだこの子にさせるおつもりなんですか……?」
 教員達はまるで詫びるように机に俯くことしかできず、しばらく視聴覚室には親子がパイプ椅子を軋ませている音だけしか響いていなかったが、しかし、申し分けなさそうにひとつ咳払いをしてその沈黙を破ったのは、右隅の教頭であった。
「……勿論我々は、宗崎教諭に厳重な処罰を与えるつもりです」と教頭は話しはじめたのである。「さらに我が校の教員達への指導も徹底させ、管理体勢の見直しを計り、今後二度とこうしたことが起こらぬべく献……」
「今後では困るのです!」と母親は叫んだ。「以後起こらないでは済まないのです!これだけ若いうちから、すでにこの子の将来はあの男に台無しにされてしまったんですよ?!」
「いや、それは勿論優香さんへの、アフターケアを徹底するべくあらゆる手を尽くしますし…………」
「それが例の袖の下の話ですか?!500万の御話ですか?!」
「いえ……それは……」
「あの御話は、ケア言うよりも侮辱としか取れませんが?!この子のかけがえのないヴァージンが奪われてしまったことを一体どのようにお考えなんですか?!」
「いえ、それは重々承知しております!しかしその、ここは内々で済ます方が優香さんの為になると思って申したまででして……」
「はあ?!こんな悪逆非道な人間が公に裁かれないことの方が問題でしょう?!」
「しかしお母さん、公の事件になれば、優香さんの将来にとって問題が出るのではと我々は考えたからでありまして……」
「警察は勿論秘密にしてもらえるでしょう?!」
「しかし警察や弁護士に何度も説明を求められます。優香さんは再び辛い体験を話さなければならなくなります。その点を我々は心配しているんです!つまり決してお金で解決しようとしているわけではありません!全体の利益を考えたゆえの結論なんです!」

 

(つづく)

 

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