寝る部

常識にとらわれない新しい〝快眠〟を日々探求しているブログ

連載ブログ小説『せんぱいせんぱいせんぱい乾杯、せんぱいサンライズ』第7回

京都のとある有名女子高に勤める男性教師に巻き起こるミステリー。

●第7回
《せんぱい、せんぱい!》

 学生服の男はそれから私に笑顔を向けた。はっきりと、私一人を見ていた。そして軽快にスキップしながら机を回り込み、なんか近づいてきたのである。

《彼女は、学校にも行かず遊んでばかりで、ぶくぶく太るだけ太った豚です!豚なのになぜ人間らしい権利を要求しているのか、僕は理解に苦しみます!ねえ、せんぱいもそう思ってるんでしょ!ね!》

「学校は閉鎖的な組織です……」
正面では母親が話しはじめていた。
《母親も豚です!》
「社会と離れているために、常識を踏み外していても気付かない場合があります。正義と悪の基準がずれてしまっているのです。宗崎の評価はここでは高いのでしょうが、しかし社会的にはどうかという点に就いて、あなた方はよくお考えにならなければなりません。こうまでしても宗崎を守ってやろうとするあなた方の態度は、本当に正しいものかどうかという点を」
母親は、なおも沈黙する教師達にたっぷり反論の時間を与えたが、勿論誰も何も言えないままである。

《せんぱい、せんぱい!》と学生服の男が言った。《豚にヴァージンはありますか?!それは焼いたら食えるんですか?!ははは――いっ!!まあね、僕に言わせたらね、あの醜い身体でもってして、相手してくれた男がいたならそれで万々歳でしょう!!そいつのささやかな望みくらい叶えてやるべきです!糞見たいって言うなら、寧ろ大量に見せてやるべきです!》

「御意見がないようですね」
 正面の席で親子は、非常にゆっくりと、立ち上がっていたのである。
「では、これで失礼させていただきます」
《でかいですね―っ!!》
 私の横で、学生服の男が吉田先生の胸を、真横から眺めていたのである。
《ど迫力っすねえ!3Dっすねえ!こういう爆乳でスタイルがいい、美しい女性が騒ぎを起こすならわかるんですけどね、せんぱい!まあ、元来、美女はこんな騒ぎをいちいち起こさないものですが。いや逆か!起こさないから、美女なのです!この騒ぎは、豚が、豚でも男に言いよられましたよ、ってことを世間に言いたいだけの、単なるプロパギャンダの一貫に過ぎないんです!!》
「やめてください!」
 私は突然聞こえてきた母親の鋭い声に飛び上がったのである。

(次回につづく)

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